・長文読解の解き方が定着していない
下記の記事では、短期間で国語の長文読解を伸ばす「語彙力を効率的に向上させる問題集」や「読解の手順・テクニック」といった基本的な読解テクニックをご紹介しました。
今回は、記述問題や選択肢型応用問題にも対応出来るようなテクニックをご紹介します。
【基本編】6ヶ月で偏差値39を上げた中学受験の長文読解が出来るようになるコツまずは、長文読解の成績を定着させるポイントを簡単にまとめておきます。
「傍線問題」と「非傍線問題」で異なる解答テクニック
「選択肢問題」と「記述問題」の最初は共通アプローチ
読解力を飛躍的にアップさせるために必要なポイント
「これまで、塾のテキストや市販の問題集で多くの文章を読んできたのに、問題が解けない」と悩んでいる生徒も多くいると思います。
その理由は、当たり前ですが、「問題を解答するためのアプローチスタンスと解答テクニック」が定着していないからです。
「問題を解答するためのアプローチスタンス」とは、「評論」または「小説」に応じて「読解意識」を変えることを意味します。
また、「問題を解答するための解答テクニック」とは、出題問題をグループに選別し、問題に解答するために意識するポイントを抑えて、解答する技術です。
「評論」と「小説」の読解意識の違い
そもそも「評論」と「小説」は、共に文章ではありますが、全く別ものです。何をもって、別ものかというと、「筆者が伝えたい内容を伝える手段が違う」ということです。
評論:「対比」と「具体⇄抽象」を使い、「一般論(みんなが思っていること)」ではなく、「筆者が考えていること」を論理的かつ直接的に(文章の繋がりを使って)主張
小説:様々な性格を持つ登場人物が作り出す「ストーリー」で、読者の感性に働きかけながら、筆者の言いたいことを間接的に主張
では、具体的には、「評論」と「小説」では、どのような読解意識を持つと良いのでしょうか?
評論を読解する上で必要な意識
1.「段落」の要点
小説と違い、評論は細かく段落分けをされています。この段落には、筆者なりの要点があります。
そのため、段落を読み終えたら、20秒程度で、「どんな段落だったか」を頭でまとめてから、次の段落に移ることをおすすめします。
2.文章構成は「抽象(筆者主張)→具体(説得)→抽象(まとめ+提案)」
評論を書く目的は、「読者に筆者の考えていることを説得力を持って、伝えて、共感してもらう(+出来れば提案して、読者の行動を変容させる)」ことです。
という事は、できる限り筆者は主張したいことを伝えたい訳ですから、少しわかりづらい表現があったとしても、それを噛み砕いてくれる文章が必ずと言っていいほど存在します。
それを理解するためにも、入試で出題される文章の構成の基本パターンは知っておくと良いでしょう。
A.【抽象】筆者の主張
文章の最初は、筆者の主張をコンパクトにまとめ、筆者が考える問題点や課題を提示してくれます。しかし、筆者と読者の間には、情報の格差があるため、読者の理解が進まないこともあります。
そのため、文章の序盤は、理解が進まなくても、先に進むようにしましょう。そこで、ポイントになるのは、段落の最後の文です。そこには、次の段落・文章につながる内容が書かれているので、たとえ文章が理解出来なくても、段落の最後まで読み切ってしまって、段落の内容を簡単にまとめ、段落最後の文から次の段落でどんな内容が書かれそうなのかを予想するようにしましょう。
ちなみに、これまで国語の指導をしてきて、国語が出来ない子の多くは、文章の序盤で止まってしまってしまい、時間が徒労に過ぎてしまう生徒が多く見受けられます。
その場合は、ひとまず各段落を読み切ってしまい、どんな内容が書かれていたのかを確認する作業をしてあげると良いです。
B.【具体】読者への説得(解説)
次は、その筆者の意見への「理由付け」と「詳細な解説・情報発信」へと繋がります。特に、「詳細な解説・情報発信」は、読者の興味を惹きつける上で非常に重要なので、様々なテクニックが盛り込まれています。
・具体例
・比喩表現
・対比
・言い換え
上記のテクニックで、筆者は読者によりわかりやすく文章を書いています。特に、問題として取り扱われやすいのが、「対比」と「言い換え」の問題です。
具体的には、筆者の主張と真逆の言葉を聞かれる問題は、「対比」を絡めたものが多いです。
C.【抽象】筆者の主張まとめ(+提案)
最後に、文章の最後に、筆者は自身の主張をまとめます。その際、言葉を変えながら「言い換え」を使って、重要なことを何度も書きます。そのため、「言い換え」問題の題材に取り上げられたり、「言い換え」問題の解答になるケースが多々あります。
そして、筆者は主張をまとめるだけでなく、筆者が抱いている「問題・課題」に対しての解決策の提案をすることも多々あります。
3.読解前に「出典」と「問題文」の把握で、テーマ&内容を理解できる
これまで国語を教えてきて、評論文の高い正答率と早い解答スピードには、「読解前にいかに情報収集できるか」が鍵になるということを実感します。
「出典」からは、「文章のテーマ」を把握することが出来ますし、問題文(選択肢は含まない)からは、文章のキーワードが記載されていることが多いので、より詳細なテーマを把握することができます。
しかし、問題文を読むとき、選択肢は見ないようにした方がいいです。そうする理由は、2つです。「バイアス(思い込み)回避」と「時間効率が悪い」ということです。
小説・物語文を読解する上で必要な意識
小説・物語文は、評論と違って、筆者の伝えたい意図や主張が分かりづらいのが特徴です。その理由は、「登場人物」や「情景」を使って、間接的に意図や主張を伝えているからです。
では、そんな筆者の意図が分かりづらい小説・物語文を読解する上で、どんなことに意識を向けて読み進めるのが良いのでしょうか?
1.読解前に「出典」&「問題文」からテーマと登場人物を把握
本文を読解する前に、評論と同様に「出典」と「問題文」を読むようにしましょう。
「出典」を見て、「どんなテーマの文章か」を把握しましょう。ただし、小説・物語文の場合、出典が非常に抽象的過ぎてわからない場合もあるので、注意です。
また、「問題文」からは、下記のことを頭に入れておくようにしましょう。
・「情景・場面の分かれ目問題」の有無
問題文を眺めるだけで、「登場人物」の名前は把握出来ると思いますが、特にその際、「誰の感情(気持ち)についての問題」があるのかは頭に入れておくようにしましょう。
そうすることによって、登場人物の中でも、特に誰の行動や言動に集中するべきなのかを把握することができるからです。
また、「情景・場面の分かれ目問題」があるかどうかを把握しておくことも非常に重要です。というのも、何も意識しないで、本文を読み進めて、本文を読んだ後にこの問題に取り組むと解答箇所を探すのに、時間が取られてしまうからです。
できる限り評論と同様で、各段落を読む終わったら、この問題に戻ってくるのがおすすめです。
2.厄介な情景問題の有無を確認
実は、レベルが上がると出てくるのが、「情景問題」です。ではどんな問題かというと、「登場人物の心情を表している情景を◯字で書き抜きなさい」などのものです。
この問題が厄介な理由は、「登場人物の心情」と「情景」を合わせて正確に理解しないと得点になりません。そのため、特に「主人公の心情」と「風景」はセットで意識して読解する必要があります。
問題を解答するための解答テクニック
国語の現代文の問題には、大きく分けて「選択肢問題」と「記述問題」があります。そこで次に、この二つの解答テクニックについてご紹介します。
選択肢&記述問題に共通する解答テクニック
1.傍線問題は、文頭から文末まで伸ばす
傍線問題を文頭から文末まで伸ばす理由は、3つあります。
ー伸ばした先に代名詞ー
傍線を伸ばした先に代名詞が存在するケースが多々あります。その場合、その代名詞を埋めることが非常に解答のヒントになることが多いです。ですので、傍線を伸ばした先の代名詞は埋めるようにしましょう。
ー伸ばした先に接続詞ー
また、傍線を伸ばした先(文頭)に接続詞が置かれていることも多くあります。特に、「だから」・「なぜなら」・「しかし(だが)」のような接続詞があるケースがあります。
当たり前ですが、接続詞の意味を確認し、前後の文がどうなっているのかがヒントになることも多いので、接続詞から前後の文意を読み取るようにしましょう。
・「なぜなら(原因・理由)」:「前の文」が結果となり、「後の文」が原因となります。
・「しかし(逆説)」:「前の文」と「後の文」が反対の意味となります。
ー主語(〜が)&目的語(〜に対して)を考えるー
特に、小説・物語文に多いのですが、「主語&目的語」を明確にすると読解が深まり、問題を解く手助けになることが多くあります。というのも、小説・物語文の場合、主語や目的語が省略されることが多いためです。
また、評論になると、一文が長くなるため、主語と述語の関係が読み取れなくなっている生徒も多い傾向にありますので、主語はしっかりと押さえることがおすすめです。
2.非傍線問題は、こまめに戻る
非傍線問題には、下記のような問題があります。
【評論】
・[選択肢] 主題(テーマ)
・[選択肢] 内容一致
・[選択肢] 段落の内容
・[選択肢] 段落構成
【小説・物語文】
・[文頭書き抜き] 場面切り替わり
・[選択肢] 内容一致
・[選択肢or記述] 登場人物の人物像(性格)
上記の問題については、なるべく「こまめに」戻ることをおすすめします。ちなみに個人的には、各段落で問題に戻った方がいいと指導しています。
この中でも、評論では「主題(テーマ)」、小説・物語文では「登場人物の人物像(性格)」は注意が必要です。
評論の文章で聞かれる「主題(テーマ)」では、文章読解の途中に「仮解答」を書いておいて、最終段落を読み切った段階で、最終的な解答を決める方法がおすすめです。
また、小説・物語文の「登場人物の人物像(性格)」を問う問題では、登場人物の人物像について書かれている箇所が多くあり、まとめるのが非常に大変です。そのため、問題になっている人物に書かれている文を探すだけでなく、常に言い換えられている場所がないかを探すようにするのがおすすめです。
選択肢問題の解答テクニック
傍線部の選択肢問題への解答テクニック
傍線部についての選択肢問題については下記のポイントを押さえて解答するようにしましょう。
・傍線部の一文の「目的語」を見つけ、「具体的に深掘る」
・問題文を読んだ後、すぐに選択肢を見ない
・選択肢は、最後の二択を残すまでは消去法
傍線部を含む文章を読む時、「目的語(「〜を」、「〜に」、「〜に対して」)」を見つけて、意味の深堀りを行うと、より文章がわかりやすく解釈できるようになります。出来る限り、「目的語」を見つけて、傍線を含む文をより詳細に理解するようにしましょう。
そして、選択肢を見る前に、大切なことは、「どんな解答になりそうか」を予想することです。多くの生徒は、面倒くさいので、選択肢をすぐ見て、解答したくなります。そのため、傍線の意味を吟味しないまま解答することが多くなり、「思い込み」で選ぶようになってしまいます。そこで、選択肢を見る前に「どんな選択肢を選ぶべきか」を予想しておくことで、それが基準となり、解答を選びやすくなります。
そして、選択肢を見る際は、「最後の二択まで消去法で消す」と良いでしょう。消す時は、間違っている部分に傍線を引かせるなどして、根拠を明確にしながら、選択肢を消去していきましょう。
非傍線部の選択肢問題への解答テクニック
非傍線部の選択肢問題には、下記のような種類のものがあります。
【評論】
・主題(テーマ)
・内容一致
・段落の内容
・段落構成 など
【小説・物語文】
・内容一致
・登場人物の人物像(性格) など
先ほども述べましたが、非傍線部の選択肢問題は、各段落を読み終わってから、戻ってくる問題です。戻るたびに、読んだところまでで問題が解答できるかを確認し、解答できる場合はそのまま解答します。
もし、解答できなくても、次の段落まで読み進めて、同様に戻ってくるようにしましょう。
記述問題の解答テクニック
記述問題には、各問題に字数制限を設けていることが多く、それに合わせて問題を解答しなければなりません。そのためには、解答を書くヒントとなる文を探す必要があります。
そこで、字数制限によって、ヒントとなる文の数の目安が変わることを知っておくと便利です。
〜40字以内:1〜2文
〜80字以内:2〜3文
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