出産前に知っておきたい、後悔しない産院の選び方

出産前に知っておきたい、後悔しない産院の選び方

妊娠・出産は、一生のうちで何度も経験できるものではありません。中には、今回が最初で最後の妊娠・出産という方もいるでしょう。そこで絶対に失敗したくないのが、産院選び。この記事では、妊活・妊娠中の方が後悔しないための「産院の選び方」について、自分自身の経験を踏まえて紹介します。

産院選びの前に知っておきたいこと

一口に産院といっても、複数の診療科がある総合病院と助産師を責任者とする助産院では、できること、できないことが違ってきます。また、同じ規模の病院でも、分娩方法や希望条件、地域によって費用は変わります。まずはじめに、産院の種類や出産費用を決める要素など、産院選びの前に知っておきたいことについて整理します。

産院の種類によって、受け入れ条件は異なる

産院は、規模によって4つの種類に分けることができます。

  • 大学病院・公立病院
    最新の医療設備があり、スタッフも豊富。産科以外の診療科とも連携ができるため、持病がある場合や多胎妊娠、高齢出産など、リスクが予測される出産にも対応できます。ただし、紹介状などが必要なケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
  • 総合病院
    大学病院・公立病院同様に、他科との連携ができるため、リスクが予測される出産でも、安心感があります。ただし、最近では産科を閉鎖する病院も増えているため、事前の確認が必要です。
  • 産婦人科病院・クリニック
    大学病院や総合病院と異なり、初診から妊婦健診、分娩までを同じ医師が診ることが多いため、コミュニケーションが取りやすい。ただし、医師が1人のところも多いため、夜間や休診日の当直医について、事前に確認しておきましょう。
  • 助産院
    助産師が出産をサポートする施設。自宅出産や水中出産などに対応してくれるところもあります。ただし、対象は正常分娩(自然分娩、経腟分娩)に限られます。また、助産師は会陰切開・縫合などの医療行為を行うことができないため、産婦人科医との連携がしっかりしているか?事前に確認しておきましょう。

持病がある場合は、他科との連携ができる大学病院や総合病院が安心です。ただし、「待ち時間が長い」「診察時と分娩時の医師が異なる」といったデメリットもあります。

自宅の近くに大学病院や総合病院がない場合もあるでしょう。また、持病がなく健康な方も、妊娠期間中やお産が進む中でトラブルが起こる可能性があります。まずは、近隣の産婦人科病院に問い合わせ、対応可能な範囲や緊急時の対応(提携先の病院など)について確認しておくと安心です。

出産費用は、様々な要素で変動する

出産費用は、下記に紹介するような要素によって変動します。妊婦の意思で選択できるもの、選択できないものがあるので、事前に確認しておきましょう。

出産費用を決める主な要素
【病院の種類】
費用が高い順に並べると、「産婦人科病院・クリニック」「大学病院や総合病院」「助産院」になります。特に、個人の産婦人科病院の場合は、病院ごとに設備の充実度や入院中のサービス(エステやお祝い膳など)の差が大きいため、費用も様々です。
【分娩方法】
分娩方法には「正常分娩(自然分娩、経腟分娩)」と「異常分娩(帝王切開など)」の2種類があります。異常分娩の場合は、分娩の際に医療的措置が必要になるため、正常分娩に比べて高額になります。
【部屋のタイプ】
部屋のタイプには「大部屋(2人以上)」と「個室」の2種類があり、後者の方が費用は高くなります。さらに、大部屋の中にも2人部屋や6人部屋など様々なタイプがあり、個室についてもグレードは様々です。
【地域】
都道府県別の出産費用の平均額では、都市部が高く、地方は低いという傾向が見られます。また、平均額が最も高い東京都と、最も安い鳥取県では、20万円以上の差があります。里帰り出産を検討している方は、自宅と実家それぞれの平均額を確認しておくとよいでしょう。
【曜日や時間】
出産が夜間や休診日になる場合は、「深夜料金」や「休日料金」が加算されます。料金の計算方法は病院ごとに異なるので、出産予定日がお盆や年末年始など連休と近い方は、事前に問い合わせておくと安心でしょう。

出産の時間など妊婦の意思で選択できない要素もありますが、時間外加算などの計算方法を事前に調べておくことで、少しでも費用を抑えた産院を選ぶことができます。また、人気のある産院では、「希望していたタイプの部屋が予約できなかった…」というケースも珍しくないため、早めに産院選び・予約を行うのがよいでしょう。

産院選びの最適なタイミングは、妊活中

産院をいつまでに選ぶか?について明確な決まりはありませんが、一般的には妊娠5ヶ月(妊娠20週)くらいまでに行うのが適当だといわれています。その理由としては、この時期を「分娩予約」の目安にしている病院が多いためです。

ただし、最近では産婦人科医の不足や産科を閉鎖する病院などの問題が深刻化しているため、産院の数が限られる地域の場合は、より早い時期に産院選びを行うのがよいでしょう。また、人気のある産院やベッド数の少ない小規模な病院の場合、妊娠5ヶ月(妊娠20週)を待たずにに満床になることがあります。

万が一、選んだ産院が合わなかった場合は、途中で産院を変えることも可能です。ただし、妊娠週数が進むにつれて、受け入れ可能な病院は限られてしまいます。納得できる産院で、満足のいく出産をするためには、できるだけ早く情報収集を行い、自分に合う産院を選ぶことが大切です。

産院選びの3つのポイント

妊娠や出産は病気ではないとはいえ、多くのリスクを伴うのも事実。そこで、絶対に押さえておきたいのが「安全な医療体制」をとっていること。また、満足のいく出産をするためには「医療者との信頼関係」「分娩・分娩後の方針」も確認しておきたいポイントです。

私の場合は、正常分娩を予定していたものの、お産が進む中で緊急帝王切開に変更となった出産でしたが、下記に紹介する3つのポイントを押さえることで、満足のいく出産になりました。

1.安全な医療体制

妊娠・出産時の主なリスク因子としては、持病や出産時の年齢(35歳以上)、肥満、喫煙・飲酒などがあります。実は、初産や身長(150cm未満)なども、持病や出産時の年齢などと同程度のリスク因子であるといわれています(※)。実際に、初産婦は出産予定日を超過しやすい傾向にあり、胎盤機能の低下などから緊急帝王切開での出産になるケースも珍しくありません。

出産のリスクは、年齢や持病の有無に関わらず、誰にでもあります。安心して妊娠・出産を迎えるためには、万が一の事態が起きた際に、的確な判断と迅速な対応ができる産院を選ぶことが大切です。

夜間や休診日は、産婦人科医が不在または経験の浅い医師が対応するという病院もあるため、診療時間外の対応についても確認するようにしましょう。また、産婦人科医だけでは対応できないトラブルが起きた場合には、小児科や新生児科との連携が必要になります。特に、NICU(新生児集中治療室)を備えている病院であれば、未熟児も安心して管理することができます。

NICUと聞くと、「大病院など限られた病院にある設備」といったイメージがあるかもしれません。実際にはそのようなことはなく、私が出産した19床以下の診療所では、NICUを2床備えていました。規模の大きな病院や知名度のある病院が必ずしも安全というわけではないため、事前にしっかりと情報収集することが大切です。

(※)出典:初期 妊娠リスク自己評価表(「厚生労働科学研究費補助金医療技術 評価総合研究事業 産科領域における安全対策に関する研究 主任研究者中林正雄 2004 年」に基づく)

2.医療者との信頼関係

「出産は命がけ」という言葉があるように、日本でも、妊娠・出産が原因で亡くなるケースはゼロにはなりません。自分と赤ちゃんの命を預けることになるため、当然、医療者(医師、助産師、看護師)と信頼関係を築くことができるかどうか?は重要なポイントになります。

信頼関係を築くには、コミュニケーションを取り合いながら、お互いの理解を深めていくことが必要になります。個人の産婦人科病院の場合、健診から分娩、分娩後まで同じ医師が診ることが多く、コミュニケーションが取りやすいため、信頼関係を築きやすいでしょう。

最近では、口コミの情報を参考に、信頼できる病院かどうか?を判断する方もいます。ただし、「情報が古く、現在の医療者と異なる」「投稿者との相性がよくなかっただけ」というケースもあるため、あくまで参考程度に留めておきましょう。

信頼できる病院かどうか?を判断するには、実際に病院を訪れて、自分の目で確認することが大切です。妊娠前でも、産院の受診は可能なので、生理痛や冷えなどに悩んでいる方は、相談も兼ねて妊活中に受診してみるのもよいでしょう。私自身も、実際に出産した病院には、冷えの改善と産院選びを目的に妊活中から通院していました。

冷えが妊娠・出産後に与える影響、食事や運動などで症状が改善しない場合の対策については、こちらの記事で紹介しています。

妊活に冷えは大敵!母親と赤ちゃんに与える影響と改善方法 妊活に冷えは大敵!母親と赤ちゃんに与える影響と改善方法

3.分娩・分娩後の方針

出産後に、「あのとき、本当はこうしたかった…」と後悔した経験を持つ方は少なくありません。後悔のない出産にするためには、自分たち(夫婦)が大切にしたいことを明確にし、それが実現できる病院かどうか?を見極める必要があります。

例えば、「立ち会い出産や無痛分娩などの選択ができるか?」「出産予定日を超過した場合の方針は?」「産後すぐからの母子同室や母乳育児は可能か?」など、分娩・分娩後の方針について事前に確認しておくことで、自分たちが納得できる出産ができるでしょう。

出産予定日を超過した場合の方針には、「母体と胎児に異常がない限り、自然陣痛が起こるのを待つ」「胎盤機能低下などのリスクを考慮し、計画入院により陣痛促進剤などを使う」など、病院ごとに様々です。前者の場合は、母体と胎児の健康状態を確認するために、1日おきの通院を求める病院が多いです。また、後者の場合も入院・投薬に伴う費用がかかるなど、いずれの場合も追加での費用が発生します。

出産方法を重視するのか?費用を重視するのか?、妊活中から夫婦でしっかりと話し合い、情報収集を行うことで、お互いが納得できる産院選び・出産ができるでしょう。

妊娠・出産のお金の不安を解消

妊娠・出産にはお金がかかる一方で、公的制度を利用することで「もらえるお金(助成金、給付金)」「取り戻せるお金(還付金)」もたくさんあります。ただし、いずれも自分で手続きをする必要があるため、自分が対象となる制度について事前に把握しておくことが大切です。

妊婦健診・正常分娩の費用を軽減する制度

妊婦健診や正常分娩は、医療保険の適応外なので、全額自己負担になります。一方で、下記に紹介するような助成金や給付金を受け取ることで、自己負担額は数万円程度に抑えることができます。

  • 妊婦健診の助成
    通常、妊娠初期から出産までに14回程度の妊婦健診を受ける必要があります。現在、すべての自治体で、この妊婦健診の費用を助成しています。ただし、助成内容は自治体ごとに異なり、「健診の助成回数無制限」「健診以外の超音波検査なども助成」といった自治体もあります。
  • 出産育児一時金
    保険適応外の健診や分娩、入院費などの出産費用をサポートする目的で、本人または扶養家族が加入している健康保険から、出生児1人につき42万円が給付される制度。妊娠4ヶ月(妊娠85日)以上であれば、流産や死産も対象になります。

異常妊娠・異常分娩の費用を軽減する制度

異常妊娠や異常分娩は、医療保険の適応対象なので、自己負担額は医療費の3割になります。また、下記に紹介するような制度や保険を活用することで、自己負担額をさらに軽減することができます。

  • 高額療養費
    保険診療による1ヶ月の医療費(自己負担額)が、一定の限度額を超えた場合、加入している健康保険から限度額を超えた分が払い戻される制度。医療費が高額になる可能性がある場合は、事前に「限度額適用認定証」の交付を受け、保険証とともに医療機関に提示することで、医療費の窓口負担を限度額までの金額に抑えることができます。
  • 医療費控除(確定申告)
    1年間に支払った医療費の合計が10万円(所得が200万円未満の場合は、所得の5%)を超えた場合、確定申告をすれば、支払った税金の一部が還付される制度。家族全員分の医療費が対象となるため、1人では10万円を超えていない場合も、家族全員の合計を確認してみるとよいでしょう。

限度額適用認定証の提示のタイミングは、「入院当日(入院手続きの際)」「入院した月の月末まで」など、病院ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。交付が間に合わない場合は、病院での支払い後に還付手続きを行う必要があり、約2〜3月後に還付されます。限度額適用認定証の交付は無料で行えるため、妊娠発覚後に交付を受けておくと、異常妊娠や異常分娩になった場合も安心です。

お金の不安を安心に変えるために

異常妊娠や異常分娩になるケースは誰にでも起こる可能性があります。特に、異常分娩の1つである「帝王切開」での分娩は増加傾向にあり、現在、妊婦の4人に1人以上は帝王切開で出産しています(※)。帝王切開は、正常分娩に比べて高額になるため、公的制度以外の備えも必要です。

「女性疾病特約」が付加された民間の医療保険なら、帝王切開をはじめとした異常分娩での入院はもちろん、つわりや切迫早産など妊娠期間中の入院も給付金の支払い対象になるため、安心です。また、女性特有の病気で入院した場合、入院給付金が上乗せされるため、給付金が実際に支払った医療費を上回るケースもあります。

医療保険は、妊娠中でも加入できますが、妊娠中の加入は不利または不可能になることが多いため、妊活中に検討・加入するとよいでしょう。

妊娠・出産前に知っておきたい医療保険のこと 妊娠・出産前に知っておきたい医療保険のこと

(※)出典:平成29年(2017)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況(厚生労働省)

また、保険商品は、種類も商品数も多いため、「どれが自分にとって最適なのか?よくわからない…」という方も多いでしょう。そのような場合は、妊活中におすすめの医療保険ランキング妊娠中でも加入できる、出産保障が手厚い医療保険を参考してしてみてください。妊活・妊娠中に加入できる医療保険の中から、特におすすめのものをファイナンシャルプランナー(FP)が厳選して紹介しています。

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