はじめての保活は何かと疑問や不安が多いもの。この記事では、そうした悩みを少しでも解消できるように、保活をはじめるタイミングと、進め方や注意点、押さえておきたい3つのポイントについて、自分自身の経験を踏まえて紹介します。
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そもそも保活とは?
保活とは、子どもを(希望する)保育施設などに入れるために保護者が行う活動を指す造語で、役所での情報収集から保育施設の見学、申し込み書類の準備など、やるべきことは多岐に渡ります。
中には、利用調整で有利になるように、就労条件を変更したり(※)、入所しやすい時期に合わせて育児休業を早めに切り上げる方も。
(※)保育施設などの利用希望者が定員を超えた場合には、保護者の就労条件や家庭状況などを点数化し、点数の高い方から順に内定します。ただし、配点の仕組みなどは、自治体や年度ごとに異なります。
待機児童ゼロでも油断は禁物
保活と聞くと、「都市部など待機児童が多い地域に住んでいる方や、人気のある保育施設を狙う方などが行う活動」といったイメージがあるかもしれません。しかし、実際には、都市部や人気のある保育施設に限った話ではなく、待機児童がゼロの地域でも、保活が必要になる場合があります。
厚生労働省は、「認可保育施設などの利用要件を満たし、利用申し込みを行ったにも関わらず、利用できない状態の児童」を待機児童として公表しています(※)。
一方で、待機児童の定義は自治体ごとに異なり、「保護者が育児休業を延長しながら待機している児童」や、「一時的に認可外保育施設を利用しながら待機している児童」は、待機児童から除外する、としている自治体も。待機児童ゼロの背景には、待機児童の定義が狭い場合もあるため、注意が必要です。
また、近年では、自治体ごとに異なる待機児童の定義を統一する方針で見直しが行われているため、まずは、保活を行う予定の地域における待機児童の状況などについて、役所で情報収集を行いましょう。
(※)出典:保育所等利用待機児童数調査に関する自治体ヒアリング 参考資料2(厚生労働省)
保活の手順と注意点
それでは、保活とは具体的に何をしたらよいのでしょうか。下記に、保活の手順と注意点をまとめているので、これから保活をはじめるお母さんやお父さんは、ぜひ、一度確認しておきましょう。
- これから保活をはじめる方には、子ども・子育て支援情報公表システム「ここdeサーチ」が便利です。住所や最寄り駅を入力するだけで、地域の認可保育施設や認可外保育施設などの情報が地図情報と合わせて閲覧できます。
- ただし、申し込み時期や選考基準などは、自治体や年度ごとに異なるため、詳細情報は自治体の窓口や保育施設に直接問い合わせるようにしましょう。
- 入所できない場合は、自治体から「利用調整結果(不承諾)通知書(※)」が届きますが、引き続き、4月入所の2次募集や5月以降の年度途中入所における選考を受けることができます。申し込み時期などは自治体ごとに異なるため、窓口で確認するようにしましょう。
- ただし、4月入所の2次募集や5月以降の年度途中入所は、募集がない場合もあるため、復職予定のある方は、認可外保育施設への入所も検討しておくと安心です。認可外保育施設の申し込み締め切りについて、早めに調べておきましょう。
(※)「利用調整結果(保留)通知書」や「保育所入所(不承諾)通知書」など、自治体ごとに名称は異なります。
保活で押さえておきたい3つのポイント
保活について、細かな部分に至るまで内容を正確に把握しようとすると、かえって全体像がぼやけて、何をしたらいいのか?戸惑ってしまうかもしれません。まずは、下記の3つのポイントについて、押さえておきましょう。
1.保育施設の種類と利用要件
一口に保育施設といっても、認可保育施設や認定こども園、地域型保育事業など、いくつか種類があります。また、認可保育施設などを利用する場合には、自治体に、保育の必要性の認定を申請する必要があります。
認定区分ごとに利用できる施設が異なるため、まずは、「自分たちの認定区分」と、「利用できる施設の特長」について確認しましょう。
詳しくは、こちらで解説しています。
2.自治体ごとに異なる選考基準
認可保育施設などの利用希望者が定員を超えた場合には、保護者の就労条件や家庭状況などを点数化し、点数の高い方から順に内定します。ただし、配点の仕組みなどは、自治体や年度ごとに異なります。
保活を行う予定の地域における「選考基準」と「自分たちの点数」、「過去の倍率や内定者の最低点数など」を把握することで、内定の可能性が高い施設を選びやすくなります。
詳しくは、こちらで解説しています。
3.自治体ごとに異なるスケジュール
申し込み時期は、自治体や年度ごとに異なります。また、施設によっては、見学・説明会への参加が申し込み条件になっていたり、見学・説明会の日程や定員が決まっている場合もあります。
自治体の窓口や保育施設などで、「申し込み時期」や「見学・説明会の日程など」について早めに確認し、スケジュールに余裕を持って、計画的に進めましょう。
詳しくは、こちらで解説しています。
保育施設の種類と利用要件
一口に保育施設といっても、いくつか種類があり、利用要件や申し込み窓口が異なります。下記に、保育施設の種類や利用要件など、保育施設選びの前に知っておきたいことについて整理します。
保育施設の種類
保育施設は、認可の有無によって「認可保育施設など」と「認可外保育施設」の2つの種類に分けることができます。さらに、前者を「認可保育施設」「認定こども園」「地域型保育事業」の3つの種類に分けることができます。
- 認可保育施設
児童福祉法に基づく児童福祉施設として認可を受けている(施設の広さや保育士などの人数、衛生管理などの基準を満たしている)保育施設で、自治体が運営する公立の施設と民間事業者などが運営する私立の施設があります。いずれも利用申し込みは自治体で、利用料は所得に応じて自治体が決定します(※)。対象年齢は、0〜5歳児。 - 認定こども園(保育部分)
幼稚園と保育園の機能や特長などをあわせ持った保育施設で、認定こども園法に基づく認可を受けて自治体が運営する公立の施設と民間事業者などが運営する私立の施設があります。いずれも利用申し込みは自治体で、利用料は所得に応じて自治体が決定します(※)。対象年齢は、0〜5歳児。 - 地域型保育事業
平成27年度からはじまった「子ども・子育て支援制度」の中で、各地域が抱える保育の課題を解決するために誕生した事業。地域の保育ニーズに対応するために生まれた「小規模保育」「事業内保育」「家庭的保育」「居宅訪問型保育」を対象に、新たな基準に基づき認可を与えることで、保育の質を維持する。いずれも利用申し込みは自治体で、利用料は所得に応じて自治体が決定します(※)。対象年齢は、0〜2歳児。 - 認可外保育施設
上記以外の保育施設の総称。児童の安全および保育水準確保の観点から、「認可外保育施設に対する指導監督要綱」に定める基準を満たす必要があり、自治体による年1回以上の立ち入り調査も行われています。保育内容や保育料金の仕組みは施設ごとに異なり、一部の補助対象施設(認証保育所や企業主導型保育施設など)を除き、利用料金には上限額などの定めはなく、保育内容に応じて施設が決定します。補助対象施設の中には、認可保育施設などより低料金の施設も。対象年齢は、0〜5歳児。
(※)認定こども園では、利用料のほかに入園料などが発生する場合があります。それ以外の保育施設などでも、制服や遠足、給食などの費用として、利用料以外の実費が発生する場合があります。
利用要件と保育時間
認可保育施設などを利用する場合には、自治体に、保育の必要性の認定を申請する必要があります。認定は下記の3つの区分に分かれ、区分ごとに利用できる施設などが異なります。
- 1号認定(教育標準時間認定)
満3歳以上で、教育を希望する子どもが対象。
利用できる施設は、「一部の私立幼稚園」「認定こども園(幼稚園部分)」。 - 2号認定(保育認定)
満3歳以上で、保護者が就労などのために保育を必要とする子どもが対象。
利用できる施設は、「認可保育施設」「認定こども園(保育部分)」。 - 3号認定(保育認定)
満3歳未満で、保護者が就労などのために保育を必要とする子どもが対象。
利用できる施設は、「認可保育施設」「認定こども園(保育部分)」「地域型保育事業」。
保育認定(2号または3号認定)を希望する場合は、保育施設の利用申し込みと同時に、認定申請を行います。教育標準時間認定(1号認定)を希望する場合は、各施設に直接申し込みます。
また、保育認定を受けるには、保護者のいずれもが下記のいずれかに該当することが必要です。
・就労(フルタイム、パートタイム、夜間、居宅内労働など)
・妊娠・出産
・保護者の疾病・障害
・同居の親族(長期入院などをしている場合も含む)の介護・看護
・災害復旧
・求職活動(起業準備を含む)
・就学(職業訓練校などにおける職業訓練を含む)
・虐待やDVのおそれがある場合
・育児休業取得中に、すでに保育を利用している子どもがいて継続利用が必要であること
・そのほか、上記に類する状態にある場合(自治体ごとに異なる)
保育施設などを利用できる時間は、保育を必要とする事由や保護者の家庭状況などに基づき、「保育標準時間(最大11時間」と「保育短時間(最大8時間)」の2つの区分に分かれます。
ただし、実際の保育時間は、前述の区分に応じた最大で利用可能な時間帯内で、保護者の勤務時間や通勤時間などを考慮し、施設長が決定します(実際の保育時間と、認定された時間は異なります)。
自治体ごとに異なる選考基準
認可保育施設など(認可保育施設、認定こども園、地域型保育事業)の利用希望者が定員を超えた場合には、保護者の就労条件や家庭状況などに基づき、利用調整(入所選考)を行い、保育の必要性の高い方から順に内定します。
利用調整の際に用いる利用調整指数には、保護者の就労条件などを基準にした「基準指数」と、家庭状況などを基準にした「調整指数」の2つがあり、利用調整指数が同点になった場合は、保護者の状況や経済状態、家庭環境などを基準にした「優先順位」によって利用調整を行います。
- 基準指数
保護者の就労条件などを点数化したもの。
項目は、「就労状況」「疾病・障害の有無」「介護・看護の状況」など。 - 調整指数
家庭状況などを点数化したもので、基準指数に加点または減点する。
項目は、「親族との同居の有無」「兄弟の保育状況」「認可外保育施設の利用」など。 - 優先順位
利用調整指数(基準指数と調整指数の合計)が同点になった場合に用いる基準。
項目は、「居住年数」「単身赴任の有無」「世帯年収」など。
利用調整指数や優先順位の項目・配点の仕組みは、自治体や年度ごとに異なるため、自治体の窓口などで確認するようにしましょう。
特に、都市部など待機児童が多い地域では、調整指数の加点がないと入所できない場合も多いため、自治体の選考基準については、できるだけ早めに確認し、対策するようにしましょう。
自治体の窓口では、各施設の過去の倍率や内定者の最低点数など、インターネット上では公開していない情報を開示してくれる場合もあります。
申し込みの際に記入する希望順位が利用調整に影響する自治体では、倍率が低い施設や、最低点数が自分たちの利用調整指数よりも低い施設を上位に選ぶのも1つの選択肢でしょう。
自治体ごとに異なるスケジュール
保活をスムーズに進めるためには、自治体ごとのスケジュールを早めに確認し、余裕を持って行動することが重要です。また、早生まれのお子さんや、年度途中での入所を検討している方は、申し込みできる施設が限られることもあるため、注意が必要です。
保活のスケジュールと流れ(4月入所の場合)
下記に、4月入所のスケジュールと流れについて整理します。ただし、実際のスケジュールは、自治体ごとに異なります。
持ち物の用意や名前付けなど、内定後の準備については、こちらの記事で紹介しています。
保育園の入園準備はいつから?必要な持ち物と、準備の負担を軽くする便利なアイテム
早生まれや、年度途中で入所する場合
保育施設のクラスは、年齢ごとに分かれ、各クラスに定員が設定されています。クラスが上がるごとに定員が増える施設もありますが、1〜5歳児クラスは、多くの場合、下のクラスから進級する児童で定員が埋まってしまいます。
例えば、0歳児クラスの定員が10名、1歳児クラスの定員が12名の施設の場合、0歳児クラスの10名が1歳児クラスに進級すると、1歳児クラスの新規募集枠は2名だけになります。
このように、1〜5歳児クラスは倍率が高くなる傾向にあるため、唯一下のクラスからの進級がなく、定員分の入所が可能な「4月入所の0歳児クラス」が最も入所しやすいといわれています(※)。
■早生まれの場合
ただし、0歳児クラスの申し込みには、日齢や月齢の制限があります。申し込み可能な日齢や月齢は、施設ごとに異なりますが、「生後57日以降」としている施設が多くなっています。
早生まれ場合、4月1日の時点で申し込み可能な日齢や月齢に達していない可能性もあるため、自治体の窓口や施設などで早めに確認するようにしましょう。
また、施設によっては、0歳児クラスがなく、1歳児以上で入所できるところもあるため、このような施設の4月入所を狙うのも1つの選択肢でしょう。
■年度途中で入所する場合
4月の時点で定員が埋まった施設でも、児童の転園や退園などで急遽空きが出た場合には、5月以降など年度途中で入所できることがあります。
時期としては、追加募集が出やすい5月や、転勤や引越しが増える9月や10月が入所しやすいといわれています。
ただし、4月入所に比べると募集枠がぐっと減るため、申し込みする自治体の数を増やしたり、認可外保育施設への入所も検討するなど、選択肢を増やすとよいでしょう。
(※)施設によっては、0歳児クラスがないところもあります。このような施設では、下のクラスからの進級がない1歳児クラスが最も入所しやすくなります。