引越し前に汚れ・傷だらけの部屋を原状回復費用から回避するテクニック

退去前に知りたい「原状回復費用がかかる傷・汚れ」とは?

引越しの前に気になるのが「退去費用」が高額にならないかということ。「画鋲の穴」や「壁紙クロスの汚れ」、「フローリングの傷」など、今までは気にならなかったのに、引越し前にやたらに気になってしまいます。

そこで今回は、「原状回復費用」になってしまう傷や汚れの詳細について解説します。また、そんな傷や汚れを補修するおすすめグッズもあわせて、ご紹介します。

退去費用って必ずかかるの?

退去費用は、主に「ハウスクリーニング」です。その支払い方法のほとんどが、敷金から差し引かれる形となることが多いです。そのため、基本的には、退去費用を支払うために、そのための資金を用意しておかないといけないということはありません。

ただし、退去費用には「ハウスクリーニング」以外に、「原状回復費用」があります。実は、これが一番、退去する時にトラブルになりやすく、高額請求されるケースもあったりします。正当な請求だとしても、敷金の範囲で賄うことが出来ない場合は、現金での支払いが必要となります。

では、退去費用ってどんな仕組みなのでしょうか?

トラブル前に知っておきたい退去費用の仕組み

退去費用の項目
  1. ハウスクリーニング代
  2. 原状回復費用

退去費用は、「ハウスクリーニング代」「原状回復費用」に分けられます。「ハウスクリーニング代」は相場が大体決められていますが、「原状回復費用」は裁判になるほど、業者によって大幅に異なり、トラブルになるケースも相次いでいますので、注意が必要です。

ハウスクリーニング代

一般的にハウスクリーニング代は、居住の広さによって、決まっていることが多いです。目安は、下記の通りです。

居住する部屋の大きさハウスクリーニング代
ワンルーム15,000円 〜 30,000円
1DK・1LDK30,000円〜50,000円
2K・2DK・2LDK30,000円〜80,000円
3DK、3LDK50,000円〜90,000円
4K、4DK、4LDK75,000円〜100,000円

居住面積33.45㎡の1LDKに住んでいた時の退去費用

この時の特約事項に記載されていたハウスクリーニング代は、35㎡未満の場合は「一律35,000円(税別)」で、35㎡以上の場合は「居住面積(単位:㎡ 小数点以下四捨五入)× 1,000円(税別)」とされていましたので、前者が採用されて、35,000円(税別)がハウスクリーニング代でした。

MEMO
ハウスクリーニングの相場は、1㎡あたり1,000円〜1,100円前後。

また、契約によっては、付属されている「エアコン」のクリーニング代が別途掛かることがあります。私が以前居住していた部屋は、エアコン1台あたり「10,000円(税別)」で掛かりました。

壁掛けタイプのエアコンのクリーニング代は相場として、10,000円程度が多いようですが、天井埋め込みタイプの場合は、費用が高くなるようです。

エアコンの形式クリーニング代金
壁掛け型エアコン10,000円 〜
お掃除機能付きエアコン15,000円 〜 20,000円
家庭用天井埋め込み型エアコン20,000円 〜 30,000円

原状回復費用

退去の時に恐れるのが、「原状回復費用」が掛かるのかどうかということです。原状回復費用については、これまでに多くのトラブルや裁判が報告されていますので、どのようなケースが原状回復費用になるのかということは知っておいた方がいいでしょう。

なお、そのようなトラブルが多いことから、「国土交通省住宅局」や「東京都住宅政策本部」から原状回復費用についてのガイドラインが公表されています。

その中でも、「原状回復費用になる傷や汚れ」と「ならないもの」があります。原状回復費用にならない傷や汚れは、「経年変化」や「通常損耗」にあたります。この二つは、普通に生活していれば、生じる劣化や損耗と考えられ、貸主負担での修繕となります。

一方で、賃借人による過失と考えられ、「原状回復費用」の請求の対象となるのが、

その中から、原状回復費用に関するトラブルの焦点になりやすい傷や汚れについて、ご紹介します。特に、普通に生活していても、気になってしまう部分は「太字」にしています。

箇所原状回復費用にならない傷・汚れ原状回復費用になる傷・汚れ
壁(クロス)・壁などの画鋲・ピン等の穴
(下地ボードの張替不要な場合)


・クロスの変色
(日照などの自然現象による)

・エアコン設置のビス穴

・テレビ・冷蔵庫の電気ヤケ
・タバコのヤニ

・釘穴やネジ穴
(下地ボードの張替が必要な場合)

・結露放置によるカビやシミ

・落書きなどの故意による毀損
床(畳・フローリング・カーペットなど)・家具の設置での床などの凹みや設置跡

・畳の変色、フローリングの色落ち
・ひっかき傷(賃借人の不注意や故意による場合)

・色落ち(賃借人の不注意や故意による場合)

・キャスター付きによるキズや凹み
・鍵の取り替え

・設備機器の故障や使用不能
・鍵の紛失や破損による取り替え
トイレ・トイレの消毒・トイレ掃除を怠ったことによるカビや汚れ、水垢など
【戸建てや1Fなどのケース】
・雑草が生い茂ってしまっている
草取りが行われていない場合は、善管注意義務違反とみなされることがある

実は高額請求されて裁判沙汰になることも?!

国土交通省や東京都がガイドラインを示すように、日本では、原状回復費用を高額請求されるケースが多く、裁判になることも多々あります。

裁判にならなくても、専門機関に相談されるケースも多いのが現状です。

年度2017201820192020
相談件数13,21012,49911,7968,066

原状回復費用が高額になる理由は、賃貸人である不動産会社が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の存在について知らないことが挙げられます。また、賃借人である入居者もその存在を知らないことが多いこともあります。

参考 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」国土交通省

実際、無人契約機検索サイトの「アトムくん」が調査したアンケートによると、国土交通省が出している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の存在を知らない人が200人中148人(74%)もいることが明らかになりました。

では、原状回復費用などの退去費用が高いと感じた場合、どのように対応すれば良いのでしょうか?

退去費用が高額に感じた時の対処法とは?

実は、退去費用が高額と感じる人は、意外にいるようです。先ほどのアトムくんのアンケート調査では、退去費用が高いと感じた人は、全体の32.4%いました。

では、退去費用が高額だと感じた場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?

【対処1】減額交渉

退去費用の交渉をすると思いの外、減額に成功する可能性が高いようです。先ほどの「アトムくん」の調べでは、退去費用の交渉を行った32人のうち26人(81.25%)は減額交渉を成功させています。

しかも、そのうち12人は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を知っており、その人たちは平均64,916円の減額に成功していました。

一方で、減額交渉しなかった人がその主な理由は下記でした。

  1. 相場がまったくわからなかったですし、なんとも思いませんでした。
  2. 交渉しても変わらないと思った。
  3. 迷惑をかけると思った。

一度、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を片手に、減額交渉をしてみるのが良いかと思います。

【対処2】各自治体の住宅相談窓口に相談

各自治体には、住宅に関する相談窓口を設けています。「電話での相談」や「対面での相談(予約制の可能性あり)」が出来ますので、高額な退去費用を請求された場合は、一度相談することをおすすめします。

絶対に泣き寝入りはしないで、正当な退去費用での対応になるようにしてください。

原状回復費用の請求防止のためのおすすめグッズ

引越し&退去が決まってから、原状回復費用を請求されないための対処方法をご紹介します!壁紙に出来たちょっと大きめな画鋲や釘の穴を埋めるおすすめパテや壁紙などの頑固な汚れが簡単に落ちる高級ホテルもおすすめするスプレーをご紹介します。

壁の画鋲や釘の穴を埋めるおすすめパテ

DAISO:壁の穴埋めパテ

DAISO「壁の穴埋めパテ」

価格:110円(税込)
容量:20g

結構、壁に出来た画鋲や釘の穴を埋めるパテはいろいろなところで購入することが出来ますが、その中でも一番購入しやすいのが、DAISOの「壁の穴埋めパテ」です。比較的、どのDAISOでも購入することが出来ます。

ただし、注意したいポイントが2点あります。一つ目は、チューブの口が大きく、上手く穴に入りづらいことです。また二つ目は、色がややクリーム色なので、パールホワイトのような色にはもしかしたら、合わないかもしれないことです。

DAISOの「壁穴埋めパテ」
価格
(5.0)
購入しやすさ
(4.5)
使いやすさ
(3.0)
完成度
(3.5)
総合評価
(4.0)

【高い完成度】穴埋め職人(3本セット)

容量:9g

「穴埋め職人」は、私が引越し前に少し大きめな画鋲穴を埋めるのに、重宝しました。穴埋めするために、最初はDAISOの穴埋めパテを購入したんですが、この「穴埋め職人」の方が、三色揃っていて、しかもチューブの口が小さいので、使いやすくて、これを使いました。

DAISOの穴埋めパテは、どうしてもチューブの口が大きいこともあり、塞いだパテがガタガタになってしまいましたが、こちらは口が小さいので、パテを均一にすることが出来ました。

ちなみに、その時は、原状回復費用は全くかかりませんでした。なお、完成度をより高くするために、薄めのサンドペーパーで、仕上げに擦るのがおすすめです。結構綺麗に、仕上がりますよ。

「穴埋め職人」
価格
(4.0)
購入しやすさ
(4.0)
使いやすさ
(5.0)
完成度
(5.0)
総合評価
(4.5)

頑固な汚れ落としグッズ

【高級ホテルも使用】スリーエス 万能スプレー

ホテルや旅館などで使われているのが、「シミよごれ万能落としスプレー」です。これは、ホテルや旅館の洗剤専門店であるスリーエスと言う会社が作ったオリジナル洗剤です。

特に、カーペットや床などの頑固な汚れにおすすめです。しかも、この商品と一緒に入っている「シミの種類別の汚れ落とし対処法」がかなり丁寧にクリーニングの仕方が書いてあるので、おすすめです!

実際、うちでは、キッチンのゴミ箱周りの床やクロスの汚れをこのスプレーを使って、引越し・退去前に掃除して、こちらも立ち合い会社の方から「綺麗に汚れ落とせてますね」とお墨付きをいただきました。

注意
スプレーを噴射させる際は、マスクとゴム手袋着用で行うことをおすすめします。噴射した空気を吸ってしまうと喉に違和感を感じることもあるので、注意してください。また、手に直接かかると手荒れにもなりますので、この2つは着用してお使いください。

【万能落としスプレーとセットで使うと強力に落とせる】リンサークリーナー

(画像をクリックするとAmazonの「万能落としスプレー&リンサークリーナー」ページに飛びます)

こちらは、アイリスオーヤマとスリーエスのコラボ企画として誕生した商品です。アイリスオーヤマのリンサークリーナーと万能落としスプレーは、共に掃除業者が使用するほどの高性能ですので、なかなか落ちないシミ汚れにはおすすめです。

万能落としスプレーをシミ・汚れの目立つ箇所にスプレーして、リンサークリーナーで強力に吸い取るだけです。

引越しや退去前に出来るだけ、汚れている箇所を綺麗にしたり、画鋲や釘の穴をパテを使って埋めるようにしましょう。

また、前回の引越し時の退去立ち合いの時に、業者の人から言われたのが、

部屋は綺麗にしておいた方がいいですよ。僕らも人間なんで、退去立ち合いの時に部屋が汚いままだと、その印象で立ち合い審査してしまうんで・・・

(立ち合い業者の男性)

でした。この立ち合いで、部屋の綺麗さと汚れがしっかりと落ちていることも確認して貰って、原状回復費用を取られずに、ハウスクリーニング代のみの請求で、無事に引越しすることが出来ました。

ただ、引越し前で、荷物の整理や荷造り、部屋の掃除をしているとなかなか引越し業者を自分で念入りに調べることは難しいかもしれません。安い引越し業者を「賢く」・「早く」決めるテクニックを紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

\ 安い引越し業者を「賢く」・「早く」決めるテクニックはこちら/

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